9/25 に行われた CLR/H 第 50 回勉強会のレポートです。
1:Visual Studio 2010 で最速RIAアプリケーション作成? (スライド)
インフラジスティックスジャパン株式会社より池原さん( @Neri78 )のセッション。出だしに軽いジャブを含ませたのですが残念ながらヒットせず…。セッションの題材は現在ベータ 1 として提供されている Lightswitch でした。
最初から「 5分で作る!」というデモを用いて Lightswitch の手軽さを説明。LT 用にも見えるタイマーをあらかじめ用意した上でデモに臨みました。実際に 5分という短い時間の中、簡易なデータエントリ AP を動作するまでそれほど大した操作もせずに行えるあたり、Lightswitch といツールの可能性が見えた気がします。Azure にも対応しているという事ですので、今後 Lightswitch を利用し SQL Azure 上のデータを利用する AP を作成する事も必要になるかも知れません。
またカスタマイズ関係についても言及され、「エンティティ間での値計算などを行う際にコードでの記述が可能」「実行しながらの UI カスタマイズが楽」「検証ロジックを独自コーディング可能」というメリットと、「完全カスタマイズは難しそう」というデメリットを説明されました。ただしカスタムコントロールを利用できるので項目単位であれば色々な事ができそうだという事(勿論ベータ 1 だからまだどうなるかは分からない)で、今後も注目する点は多いように思えました。
Lightswitch 自体は Silverlight を利用しているので、NetAdvantage for Silverlight Data Visualizaion に含まれている地図コントロールを Lightswitch 上にて利用するデモも行われ、別途コントロールを利用する事により純粋に Lightswitch のみで構築するよりもかなり UX に富んだ UI を構築できる事を見せてもらえました。既に Silverlight で AP 開発を行っている場合、Lightswitch を利用する事はかなりメリットがありそうだ、と感じました。
セッションの最後では「 Lightswitch は誰が使うのでしょうか? 」という質問が投げかけられました。個人的には「非開発者であり ITPro が主ターゲット」と見ていたのですが、現時点では公式アナウンスもなく海外でも明言はされていない様子。ただカスタマイズを行うにはある程度知識が必要だという点、Visual Studio の操作を知らないと難しいのではないかという点があることより、やや開発者向けなのではないかという雰囲気が感じられました。会場であがった意見としては「 Access と同じ層を狙っているのでは?」という意見もあり、今後の方向性が注目されるところです。
2:Lightning Talks
今回は告知宣伝系と普通に LT とが混ざった形となっていました。
A) @tenki28 さんの 「SQLDO コミュニティ紹介」
B) @twit_ahf による 「伝票入力にまうわる失敗」
C) @mentaro さんの 「起業までの道のり」
D) @Tocchann さんの 「わんくま同盟紹介」
E) @fukuchima さんの「和風で行こう!」
F) @Neri78 さんの 「NetAdvantage 製品紹介」
最近起業した @mentaro さんの LT は非常に濃厚な話ですが、軽快な口調でサクサクと行われたのが印象的でした。
「半年間無収入で!」というのが物凄く衝撃的です。実際に起業されている方の言葉というのもあり、物凄く説得力がありました。
@fukuchima さんの LT は Tech Ed Japan 2010 近辺で一部界隈を賑わしたキーワードが元ネタになっていた、というのを後日知りました。@fukuchima さんは自社製品である InputMan での思いやりある UX というスピーディかつテンポが良い喋りが印象的でした。ネタも適度に盛り込まれていましたし。
Bonus Stage:おやつタイム
CLR/H と SQLDO、双方のコミュニティが勉強会を行う際に「必須」であるおやつタイムは今回も万全。ドーナッツやロールケーキなどが飲み物と共に振る舞われています。
3:WiX toolset で始める WIndows Installer 開発入門(スライド)
わんくま同盟より来ていただいた高萩さん( @Tocchann )のセッション。「インストーラとはどのようなものか」に始まり実際にインストーラを作成するデモまで行われたセッションでした。
インストーラと言われるものについて、WIndows 以前から現在にいたるまでをざっと説明し、そこを踏まえた形でインストーラに求められるものを定義しました。インストーラで行うべき事、行うべきではない事を改めて押さえる事で Windows Installer で何を行うかというのを分かりやすく説明してもらえたと思います。
リレーショナルデータベースであり、作成時も実行時もデータベースとしてアクセスを行い動作するという、Windows Installer を利用した事のない方には驚かれる部分や、Product・Feature・Component と製品を構成する要素の説明。WiX toolset を利用するための環境構築など、普段インストーラに触れてない方を主軸にした貴重なセッションでした。
また現役 MVP である高萩さんが参考にされている資料についても補足説明があり、非常に有益なセッションでした。Designed for Windows XP を参考にするのが迷った際の指標となる、というのは非常にありがたい情報です。
Visual Studio 上で XML を直接編集してのインストーラ作成をライブコーディング的に行うことで、思っているよりも簡単にできるという事を目にすることができたと思います。
高萩さんのセッションで面白いと思ったのはその進め方でした。スピーカー席からの喋りだけではなく、参加者側へ視線や体を向け、「参加者達と一緒に進めている」と感じさせる方法で、これは喋る側へと回った際には是非実行してみたいと感じました。
個人的に業務としてパッケージ製品を作成しているのもあり、多少は Windows Installer と触れていたのですが、改めて体系だったセッションを行っていただけたのが非常に有難かったです。
パッケージ製品だけに限らず業務システムを作成する人にとっては、結構利用する機会が多いかと思っていたのですが、.NET になって配布が楽になったことも手伝いあまり多くないのかも知れません。ですが利用することにより、さらにしっかりとした配布が可能になる点は大きいと思います。是非利用して貰いたいものです。
4:Windows フォーム脳から WPF 脳への移行(スライド)
グレープシティ株式会社の八巻さん( @yamaki00 )のセッション。Windows Forms 時代におけるプログラミング方法から、WPF 時代における方法へどのように切り替えていくか、というセッションでした。
WPF 時代になって「データを起点に考える」という思想の変更が重要、GUI を起点とするのではなく「データをどのように視覚化するか」という、逆の発想が重要だというのが全体を通して言われたかった事と思います。
丁度 LT にて私が「データバインディング大事!」という内容を扱った事もあり、改めてデータバインディングがこれからも大きな影響を与える事が実感できたと思います。
データバインディングの基本、そしてそれを用いた画面側のロジックを変更せずに表示内容を切り替えるデモ。そして画像の一覧表示機能を持つ AP の実装デモ。余談ですが非開発者である今回のカメラマンは、このデモが一番わかりやすく興味を持った、と言っていました。
また最近話題にあがることが増えてきている、MVVM についても「重要なのは目的とその考え方」とこだわりすぎないことを言われました。セッション中に言われた最大の目的は「テストを行いやすくする」事。開発者であれば非常に納得する話です。
しかしセッションのスライドにて、某漫画のネタを随所にちりばめてきたこともあり非常にインパクトの強いセッションであったと感じます。良い意味で反則。
Extra Stage:抽選会
今回は各スピーカーの方々やスポンサー企業様から提供された品々が多く、一人一つは何かがあたるというすさまじい状態となっていました。提供してくださった皆様にはこの場を借りてお礼申し上げます。
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