どんなコネクタなのか
Power Automate Managementコネクタは、その名前の通り Power Automate の管理機能を扱っているコネクタです。公式ドキュメント(https://learn.microsoft.com/ja-jp/connectors/flowmanagement/)でもアクションの一覧などがまとめられていますが、それを読んでもなかなかイメージが付かない or 使いどころが思いつかないのではないでしょうか。
アクション数もこのように非常に多いですが、ここで提供されているアクションについて、簡単な解説と使いどころを書いていきます。
フローの実行管理機能
フローをオフにする:環境内で指定されたフローを停止します。
フローをオンにする:環境内で指定されたフローを開始します。
フローを再送信する:環境内で指定されたフロー実行を再送信します。
フロー実行を取り消す:フロー実行を取り消します。
実行管理機能といえるのは上記の4アクションです。ここはイメージつきやすいところで、対象となるクラウドフローを指定して、オフ(無効化)・オン(有効化)を行ったり、実行エラーが発生したクラウドフローを再実行させたり、実行中のクラウドフローを中止させることが可能です。
利用するシーンとしても、管理機能的なものを用意する場面で利用することが思いつくので比較的利用することも簡単です。雰囲気的には、再送信と実行取り消しが使いやすいのかもしれません。
所有者・ユーザー関係の機能
フロー所有者を一覧表示する:環境内で指定されたフローのすべての所有者を一覧表示します。
フローの所有者を変更する:環境内で指定されたフローの所有者を変更します。
フロー所有者を管理者として変更する:管理者アクセス権のある環境内で作成された特定のフローの所有者を変更します。
実行専用ユーザーを変更する:環境内で指定されたフローの実行専用ユーザーを変更します。
管理者としてフローを一覧表示する:管理者アクセス権のある指定された環境内ですべてのフローを一覧表示します。
フローの実行専用ユーザーを一覧表示する:環境内で指定されたフローのすべての実行専用ユーザーを一覧表示します。
クラウドフローの所有者を変更したり、関連するユーザーの一覧を取得したりする機能です。これも、管理機能的なものとして利用することが考えられますが、冷静になって考えると、これらの操作を行うときは大体 Power Automate のポータルから手動で作業する場面が多いと思います。また、それらの作業は比較的単発で終わることが多く、繰り返しこのあたりの作業を必要とする場面はあまりイメージできません。
そう考えると、「Power Automateの完全な管理を行えるツールを自作したい」といったことでもなければ、そうそう利用することはないのではないか、と考えていますので、もし「こういうシーンで使えるじゃないか阿呆が!」というものがあれば、ぜひぜひ教えてください!
環境まわりの機能
自分の環境を一覧表示する:アクセス可能な環境を一覧表示します。
自分のフローを一覧表示する:指定された境内で作成したすべてのフローを一覧表示します。
自分の接続を一覧表示する:指定された環境内で使用可能なすべての接続を一覧表示します。
コネクタを一覧表示する:指定された環境内で使用可能なすべてのコネクタを一覧表示します。 この一覧には、カスタム コネクタおよび組み込みコネクタが含まれます。
コネクタを取得する:環境内で指定されたコネクタを取得します。
コールバック URL の一覧:環境内で指定されたフローのコールバック URL の一覧です。
利用している環境の情報取得や、環境にぶらさがるクラウドフローの一覧、コネクタの一覧、コネクタ情報の取得、接続情報の取得、外部から呼び出される先となるコールバックURLの取得が可能です。
以前私が行っていた、新規コネクタの追加やアクション/トリガの新規追加を検知する仕組みでは、このアクションの機能を利用しています(Logic Apps側でやってることもありますが)。なお、現在はかかるコストが思っている以上に発生してしまっているので止めていますが、なんとか近いうちには復活させたいとも思っています……。
コネクタは環境によってというか、環境が存在する地域(リージョン)によってどこまで提供されているかは異なります。自分が利用している環境でどこまでのコネクタや機能が提供されているかの確認には、このあたりのアクションを利用すると便利です。
接続情報の作成機能
接続の作成:環境内の特定のコネクタの接続を作成します。
環境周りの機能の一つなんですが、ちょっと特殊なアクションなのでここは個別に記載します。接続の作成アクションは、その名前の通りコネクタから利用する接続情報を新規に作成するためのアクションです。それを聞くと、じゃあクラウドフローを展開するときに接続情報を自動で作成することができるんじゃないか、なんて思われるかもしれません。
しかしここでも冷静に考えてみてもらいたいのですが、クラウドフローを展開するときはそのほとんどがパッケージなどの形でエクスポート・インポートで展開し、その際に接続情報を指定することが多いです。また接続情報を作成する際には当然相手先サービスに接続するためのアカウントやパスワードといったセキュアな情報が必要です。セキュアな情報自体はKeyVaultなどに保存すればよいのでしょうが、そのようなセキュアな情報をクラウドフローに扱わせる場面は、なかなか思いつかないのが実情です。
そしてもう一つ、これはおま環(お前の環境の問題)の可能性が高いのですが、作成先の環境ですでに別の接続情報が存在している場合、デザイナー上でアカウント情報の設定が求められない状況になります、
上記のキャプチャは、Twitterの接続情報作成とSharepointの接続情報作成時になります。Twitterは私もよく利用しているので、対象の環境にはすでに接続が存在しています。この場合はアカウント情報を入力できませんでした。対して接続情報を作成していなかったSharePointの場合はデザイナー上でアカウント情報を入力できました。この動きの違いが、予想しているようなすでに接続情報があるかどうかに由来しているかまでは確認ができていません。ですがこういう動きがあり得る以上、利用する場合は注意が必要です。
クラウドフローの管理機能
フローを取得する:環境内で指定されたフローを取得します。
フローを管理者として取得する:管理者アクセス権のある環境から指定されたフローを取得します。
フローの作成:フローの作成
フローを更新する:環境内で指定されたフローを更新します。
フローを削除する:環境内で指定されたフローを削除します
削除されたフローを管理者として復元する:管理者のアクセス権を持つ環境で、論理的に削除された指定のフローを復元します。
クラウドフローの取得や新規作成、更新削除といったことを行う機能です。クラウドフローをJSON形式で取得し、部分的に書き換えて新規に作成するといったことが可能です。削除しても復元が用意されているので一安心といったところだと思います。
この機能もなかなか使いどころが思いつかないところですが、定期的に処理内容を調整する必要のある場合、クラウドフロー上でその処理をIFとか利用して定義しておくことも可能ですが、こちらの機能を用いてクラウドフローの定義自体を定期的に書き換える、という使い方はアリかもしれません。
私が実際に利用していたのは、先の例にあったコネクタ一覧の作成においてです。コネクタは環境によって提供されるものが異なると書きましたが、付け加えると最新のコネクタはプレビュー環境(アメリカの環境の一つ)にまず提供が行われます。この環境は試用版として作成するのですが、試用版環境は30日が経過すると削除される仕様があります(一時的に延長することは可能です)。削除されるとなるとどうするかですが、既存の試用版環境を削除して新しく試用版環境を作成し、その環境からコネクタ一覧を取得するということをやっていました。
環境を作る部分はやればできそうだったのですが手間が多そうだったので、コネクタ一覧を取得する際に「現在存在している環境一覧を取得し試用版環境を見つける」という処理を頭にかませていました。そうすることで、定期的にコネクタ一覧を取得するアクションを再設定する必要がなくなったのでちょっとは楽にできたものです。
現実の場面でこのようなケースがあるかは何とも言えないところですが、似たように定期的にクラウドフローを変更しないといけない場面があるのであれば、このアクションの利用を検討してもよいと思います。
最後に
提供されているアクションについて、いろいろと思うところを書いてみました。機能としては確かに管理を行う場面では必要に思えるでしょう。ですが冷静になって、「その管理機能はクラウドフローで実行するほどのものか」、と一度よく考えてみてそのうえで必要になったらこのコネクタを利用してみるのがよいと思います。
個人的にはすべてを自動化することは必ずしもよいことだとは思っていません。どちらかといえば、そもそもその作業って必要なんだっけ、というラインから考えていくのがよいと思っていますので、深く考えずに自動化を進めることは対処療法を行っているようなもの、と頭の片隅にでも置いておくとよいのではないでしょうか。
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